まぼろしの写真・・・渡部さんのお弁当シリーズその2

渡部さんがとりだしたお弁当箱がいつになくりりしい姿にみえました。

ずっしりと「いかにも」というかんじの手ごたえがありそうです。

「きょうのはどうしたんですか?」

とすかさずたずねます。

渡部さんの説明によると、夕べは実家にとまったので、

お母さんの山崎順子さんが気あいをいれてつくってくれたのだそうです。

特ダネのにおいがしたのでおおいそぎで2階にカメラをとりにいくと、

もどったときにはテーブルの下にしっかりとガードされていました。


「おねがいだからとらないで」

「シャレにならないから」

「このまえはたいへんだったんですから」


と必死に撮影をこばまれます。

どうしても写真をとられたくないほど前回と決定的な格差のある

お弁当の中身とは、いったいどんなものなのでしょう。


すごく気になるので、渡部さんが利用者の方をトイレに

さそっているあいだに写真をとろうとしても、

トイレにまでお弁当をつれていく用心ぶかさです。

まるでいつもの渡部さんらしくなく、

いくらおねがいしてもまったくおうじてくれませんでした。


けっきょく写真をとることができず、お弁当シリーズの2回目はまぼろしの写真となってしまいました。

ブログに紹介することができず残念だったけど、

でもよくかんがえてみると、渡部さんにとってもぼくにとっても、

そして渡部家の平和な生活にとっても、これでよかったのかも。